【卒業生の声 Vol.5】 柴田眞子 さん

経歴
2021年 吉祥女子高校
2022年 SSP+ 2期生
2023年 エディンバラ大学 地球環境科学学部 生態環境学専攻

SSP+での研究内容
 SSP+では、リモートセンシング技術を活用した土壌水分量の推定手法の開発に取り組んでいました。近年、エルニーニョ現象や記録的熱波で乾燥が激しい地域では、乾燥した炭素を多く含む土壌にも火が移り、森林火災の拡大が一層止まらなくなっています。土壌の性質について元々関心があったこともあり、空中から観察できる指標を用いて土壌水分の推定ができないか、植生指数の開発を行いました。この結果は、地球惑星科学連合大会、及び日本農業農村工学会にてポスターを用いて発表し、さまざまなバックグラウンドをもつ専門家の皆様から貴重なフィードバックをいただきました。

大学での専攻について
 SSP+での活動を通して、生態学に興味を持つようになります。生態学とは、我々ヒトを含む生き物間(個体間、異種間、異コミュニティ)の交流、ないしは生き物がどのように生態系というシステムに関わっているのか、に重点を置き、常に境目を意識するような、非常に新しい、異分野融合的な学問です。リモートセンシングで土壌指標を作成するのはいいけれども、やはり一点一点の土壌水分量には差がある。どうして土壌の性質はほんの数メートル離れたところでも全く異なってくるのだろうか?と考えた時に、植物や微生物の働きがあるのではないか、と生態学の中でも土壌生地化学(Soil biogeochemistry)に興味をもつようになりました。
 現在は、学部の卒業論文のため、土壌の炭素循環に関わる生物学的要因を研究しています。植林をした際、土壌炭素の量・安定性はどのように変化するのか、または変化しないのか。特定の種と共生する菌根菌が、炭素循環の一つの要になっているのではないかと予想して、樹種別比較も行っています。3日ほどをかけて深さ50 cm 以上の土壌を500サンプル以上採取するなど、肉体的にも大変ですが、やりがいのある、面白い、貴重な研究テーマを、大事にして卒業まで本研究に磨きをかけていきたいと思います。

SSP+で学んだこと
 SSP+での経験は、圧倒的に、学部での勉強を有意義なものにしてくれています。特に、論文に安易に飲み込まれない批判的思考力は、普段の高校生活では養えるものではありません。SSP+に参加した時点での私には、自然と論文がすっと入ってきたり批判できるような能力がありませんでしたから、SSP+を通して、アドバイザーやTAのみなさんと議論をする日々は、貴重なものでした。また、研究トピックを決めるところから発表まで、一度大きな流れを経験できるという機会は、学部生になると分かりますが、非常に貴重です。自分が研究のどの段階にいて、何を必要としていて、何を人に聞くべきなのか。優先順位の付け方や、人に頼るということも、学ばせていただきました。以前よりはどんどん積極的に人に頼るようになりましたし、学部生ですが博士課程の先輩方の発表に質問をしたり、先生にも積極的にアイディアを持ちかけたり、相手の反応を考えずに、自らの考えをはっきりと伝える土台となったのが、SSP+だと思っています。このような機会を無償で提供いただけたことには、感謝しています。

高校生へのメッセージ
 解決したい地球規模課題がある高校生のみなさん。科学者になるということが、課題解決への唯一の貢献の仕方ではありません。しかし、科学者として、地球規模の課題と対峙するとはどういうことか。1年間を通して深く学んでみてください。一度決めたら、やり切る覚悟を持って、取り組んでみてください。
 SSP+では、とにかく研究にわくわくした、非常に教育熱心な人たちが集まっています。どこの大学を訪ねてもそうですが、指導教員のやることにしたがってプロジェクトを進め、既存の方法を用いてまだ分析されていない地域のサンプルを取って解析を行い、あらゆる研究の中の一つの”点”を増やすような研究はたくさんあります。クリエイティブにならなくても、研究はできるんだなぁと、気づきました。ただし、そんな研究は面白くない。。!そう思う人がたくさん集まる、面白い環境です。ぜひ、挑戦してみてください。

イギリスでの生態学開講60周年記念スピーチ・まとめ
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【卒業生の声 Vol.4】 佐々木結衣 さん

経歴
2016年- 青森高等高校
2017年- SSP4期生
2020年- 立命館大学生命科学部生命情報学科
2024年- 立命館大学大学院生命科学研究科
2026年- 民間企業(IT系、コンサルタント)

SSPでの研究内容 –
 高校の理科の授業でアオコの発生が環境問題になっていると学びました。そこから、ビクトリア湖のアオコの発生条件について研究しようと決めました。

大学・大学院での専攻について
 大学院では、脳の仕組みをプログラムで再現し、目や耳から入ってきた外の世界の情報を、脳がどのように理解しているのかを研究していました。

現在SSP+で取り組んでいること
 定期ミーティングやスクーリングでのサポートを行っています。

SSPで学んだこと
 SSPで教わった「定量的に伝える」ことは、大学から社会人になった今でも変わらず役に立っています。大学時代は、脳神経のモデルにおいて「外界からの入力に対するモデルの再現率を80%まで高めた」など数値で示し、教授との議論を進めていました。社会人として働く現在も、「現在8割完了し、16時までに提出できます」などと伝えるようにしています。定量的に伝える習慣は、どの環境でも円滑なコミュニケーションを築く基盤となっています。

高校生へのメッセージ
 研究を進める中で、勉強や部活との両立に追われたり、実験が思うように進まなかったりと大変なことも沢山あると思います。私自身も高校や大学時代、「時間が足りない」「結果が出ない」と不安になったことが何度もありました。ですが、アドバイザーやTAの方々、一緒に研究をする仲間に支えられ、研究を続けることができました。そうして苦労した末に、自分の立てた仮説が結果として証明された瞬間は、「誰も知らない新しい発見をした!」とワクワクしたことを覚えています。研究を続けていく中で、少しでも研究の楽しさを見つけてくれると嬉しいです。頑張ってください!

【卒業生の声 Vol.3】 吉川絹佳 さん

【卒業生の声 Vol.2】 徳植啓康 さん

経歴
2016年 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
2017年 SSP 4期生
2019年 東京理科大学 理工学部 土木工学科 (現:創域理工学部 社会基盤工学科)
2023年4月 名古屋大学大学院 環境学研究科 地球環境科学専攻 博士前期課程
2025年4月 名古屋大学大学院 環境学研究科 地球環境科学専攻 博士後期課程
2025年4月 日本学術振興会特別研究員(DC1)

SSPでの研究内容 – 衛星リモートセンシングを用いた河川の土砂輸送量の推定
 当時は、グループで研究を進めていました。グループでは、当時話題となっていた干潟面積の縮小に焦点をあて、干潟面積の調査をする担当、干潟に流れる土砂量を推定する担当、森林から河川に流出する土砂量を推定する担当に分かれ研究を進めました。河川を流れる土砂量の推定は衛星リモートセンシングとの親和性が高いと考え、テーマ設定を行いました。

大学・大学院での専攻について
 大学院では、気象学の研究室に所属し、レーダを用いて降水形成過程の研究をしています。普段、気象庁や国土交通省が配置している気象レーダでは、立体的な観測に数分程度の時間を要します。私の研究では、30秒間隔で立体観測できるレーダを用いて、積乱雲の中の降水粒子の時間変化を解析しています。

現在SSP+で取り組んでいること
 受講生の研究サポート、NPO法人の運営、助成金等の申請に取り組んでいます。

SSPで学んだこと
 SSPで学んだこととして、印象に残っていることは、「専門性にこだわらずアイデアを出すこと」です。
 研究者として新規性の高い研究をするためには、その分野の現状を専門性高く把握することは重要です。一方で、SSPやSSP+では、新規性の高いアイデアを出すためには、分野の常識にこだわらず、他の分野の知見を取り入れながら研究を進めることが重要だと伝えています。実際に自身の卒業研究では、気象学の研究に、同じ研究室の河川工学で用いられていた数式を応用して取り組み、学会発表で表彰いただくことができました。
 SSP+では、こうした発想の仕方以外にも、研究テーマの立て方、結果の解釈や議論の方法など、研究活動で重要な考え方や姿勢を学ぶことができます。この学びは、科学研究に興味のある皆さんにとって、将来大学での研究に取り組むときだけでなく、大学での学びそのものを深める力にもなると感じています。

高校生へのメッセージ
 大学で専門知識を学ぶ前の今だからこそ思い浮かぶ、常識にとらわれないアイデアがあるはずです。SSP+には、全国の高校生からの刺激と、大学教員から研究者視点の厳しい指摘を受けながら、自身のアイデアを研究として磨くことのできる環境があります。皆さんからの応募をお待ちしています。

researchmap


【卒業生の声 Vol.1】 堅田凜平 さん

経歴
2016- 横浜サイエンスフロンティア高校
2016- 北大SSP3期生
2019- 明治大学農学部
2023- 明治大学大学院 農学研究科
2025- 民間企業 研究職

SSPでの研究内容低コストの簡易分光器を用いた太陽光誘起クロロフィル蛍光(SIF)の測定
植物に興味があり、論文を読む中で、植物が発する微弱な光(太陽光誘起クロロフィル蛍光)から植物の状態を評価できることを知りました。その仕組みの面白さに加え、非破壊で植物の生理状態を把握できる有用な手法であることに魅力を感じ、この研究テーマを選びました。

大学・大学院での専攻
大学・大学院では土壌物理学を専攻していました。土の水分量が変わると、植物の葉が反射する光もわずかに変化します。人の目では分からないその小さな変化を調べることで、葉が反射する光から土の水分状態を把握できる可能性について研究していました。

現在SSP+で取り組んでいること
受講生の研究指導や進捗のサポートに加え、教育プログラムの企画・改善、新規受講生の選考等に携わっています。

SSPで学んだこと
SSPでの最大の学びは「考え方」そのものでした。大きな問題を小さな問いへと分解し、一つひとつを見極めながら考え抜く姿勢です。組織運営や研究開発で課題に直面したとき、私はまず「何が原因で、どう影響しているのか」を丁寧に分析することから始めます。そのうえで、見えてきた要素の一つひとつに着実に向き合っていく。この考え方は、私の課題解決の基盤であり、今もあらゆる活動を支え続けています。

高校生へのメッセージ
SSPでの研究活動は、勉強や部活動などで忙しい高校生にとって、決して楽な挑戦ではありません。しかし、自ら課題を設定し、考え、試行錯誤しながら研究を進める経験は、大学やその先の活動でも必ず役立ちます。知識にとどまらず、自ら考え抜く力や挑戦する姿勢は一生ものです。 ぜひ一歩、踏み出してみてください。